霞喰人の白日夢

霞を食べて生きていけたら..

香港の民主化運動

今日も朝から雪が降っていたが,昼過ぎに少しだけ青空が広がった.でも,気がつけば,今はまたどんよりと曇っている.裏日本(*)の天気はほとんどいつもこのようにコロコロと変わる.そんなわけで,出かけるときは晴れていても,いつも折りたたみ傘を持って出る習慣がついた.

 

(*)放送禁止用語になってしまったようで,昨今ほとんど聞かなくなったが,この言葉が持つもの悲しいイメージが私は好きでよく使う.差別用語とも言われるが,差別は言葉を使う人の意識の中にあるもので,本来,言葉に責任はないだろう.

 

http://monoroch.net/kinshi/

 

例えば,「めくら」や「つんぼ」,「片ちんば」という言葉が差別的だとの理由で,私が子供の頃に「身体障害者」という言葉に置き換えられた.さらに「害」という字が差別的だとかで,今では「碍」とかひらがなで「がい」と書くようになった.次のような見解もあるので一概に否定はしないが,人々の中に差別意識がある限り,同じような言葉狩りは何度も起きるだろう.現に,「〜が不自由な方」というべきだという話まででてきている.

 

http://www.rehab.go.jp/rehanews/japanese/No226/5_story.html

 

さて,私は,裏日本のこのような天気が嫌いというわけではないのだが,極端な寒がりなので冬はけっこうつらい.定年後はこの地を離れると決めていたのは,それが最大の理由である.

 

話があちこちに飛んでしまうのだが,昨年末,香港の活動家の一人である周庭が,殺人や薬物犯罪などの重罪犯の刑務所(大欖女子懲教所)に移送されたとのニュースがあった.移送前の刑務所でも寒くて面会時には服を7枚も着込んでいたとのことだが,移送後の刑務所は「背後に山を控え、海風が吹きつけるという厳しい環境にある」から,おそらくは相当に厳しい環境に置かれているだろう.民主運動家達に対する見せしめとはいえ,日本の感覚で言えば,たかだか大規模デモを率いただけであまりにもむごい仕打ちと言えるだろう.しかも,香港の若い人たちは,つい数年前まで,日本のように自由な環境で育ってきたのだろうから.

 

https://blogos.com/article/510368/

 

リーダーの一人である黄之鋒も同様な重罪刑務所に送られているらしい.今年に入ってからは民主活動家を50数名逮捕というニュースもあった.香港政府,というより中国共産党民主化運動への締め付けはいっそう強まっていて,今後緩くなる気配はまったくない.おそらくは,香港の中国化と習近平の独裁化はさらに激しくなっていくだろう.そしておそらく,黄之鋒や周庭が望んだ香港が戻ってくることはない.約1年後,刑期を終えた二人が自由になる保証はまったくなく,別の罪でさらに長い刑期を受けなければならないかもしれない.獄中でノーベル平和賞を受賞しそのまま獄中死した劉暁波の妻のように,自宅軟禁に置かれるかもしれない.

 

https://www.asahi.com/articles/ASM775CQCM77UHBI019.html

 

fusan.jpg私は,2008年に一度だけ仕事で香港に行った.香港島ビクトリア・ハーバーあたりから対岸をみた風景は印象的だったし,鯉魚門の海鮮料理屋で食べた大きなシャコは大変においしかった.バスの中で降りる場所を教えてくれた若い女性も親切だった.中国本土にはあまり行く気がせず,正直に言えば避けていたのだが,2019年にやはり仕事で成都大学に行くことになった.こちらのこわばった気持ちとは関係なく,招待してくれた先生たち,案内役の学生たちはとても親切だった.人々は,知り合えば,皆,親切なのだ.それなのに,異なる国の人々を分け隔てるのは,やはり政治,その国を支配する権力者達の責任といってよいだろう.