霞喰人の白日夢

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異物混入モデルナワクチンのその後

 

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先月末,異物が混入したモデルナ製新型コロナワクチンを接種した30代の男性が2人亡くなったと報道された.このふたりが受けたワクチンの製造ロット番号は「304734」,どちらも接種の3日後に亡くなったという.

 

2人の30代男性の死亡記事

  https://www.yomiuri.co.jp/national/20210828-OYT1T50284/

 

9月に入ってからさらに40代の男性の死亡が報道された.この男性が受けたワクチンのロット番号も「3004734」.接種の翌日に亡くなっている.

 

40代男性の死亡記事

  https://news.yahoo.co.jp/articles/599da10796c149c8ba3c7cf67d265db8a22c4d4e

 

そして昨日,上述の3人の死亡原因の調査結果が発表された.「現時点では情報不足などで評価できない」.つまりわからないということだ.

 

接種後に死亡の3人 “因果関係 評価できず”

  https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210910/k10013253721000.html

 

「現時点では」というのだから引き続き調査は行われるのだろうが,どうせ政府と御用学者のやること.いつものように,最後は「異物混入ワクチンが原因とは断定できない」といってウヤムヤにし,世間が忘れるのを待つのだろう.

 

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それは異物が混入していないワクチンについても同様だ.「第67回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会,令和3年度第16回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会」(長すぎ!)では,2月17日から8月8日までの991の死亡例について,「因果関係が否定できないもの」が0件,「因果関係が認められないもの」が5件,「情報不足等により因果関係が評価できないもの」が986件とする.つまり,ワクチンが原因のものは0件,否定できるものが5件,あとの大半はわからない,としているのだ.

 

新型コロナワクチン接種後の死亡として報告された事例の概要

  https://www.mhlw.go.jp/content/10601000/000823368.pdf

 

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科学的にわからない,断定できないということは嘘ではないだろう.しかし,その「科学的に断定できない」という事実を,「ワクチンが原因とはいえない」というよう政治的・行政的結論にしてはいけない.その2つのフレーズは言葉として意味が違うだけでなく,政府の方針に素直に従った運の悪い被害者を見捨てることになるからだ.数々の過去の薬害や公害,原爆被爆の歴史を少し見れば分かるように,氷のように冷たい日本政府はいつもそうやって被害者を切り捨ててきたのだ.

 

 

さて以下では,30代男性が突然死する確率という観点から,ネット上で得られるデータを用いて,亡くなった2人の30代の男性について評価してみよう(40代男性も同じロット番号のワクチンだったからまとめて計算したいところだが,面倒なため30代のみとする).

2人の男性はどちらも同じロット番号「304734」のワクチンをうち,3日後になくなった.武田製薬のサイトを見ると,このロット番号の出荷本数は52,000本,摂取回数は52万回分であるという.

 

モデルナ:同一ロット番号の出荷本数と摂取回数

  https://www.takeda.com/ja-jp/announcements/2021/covid-19vaccine-suspension-of-use/

 

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52万回のうち何割が30代男性に打たれたのか分からない.だがモデルナが職場接種に使われたということであるから,すべてが回収されることなく25歳から64歳に均等に使われたと仮定しよう.すると30代には13万回接種したことになる.男が7割と仮定すれば9.1万回.面倒なので多めに10万回接種としよう(摂取回数の多めの仮定はワクチンによる死亡確率を小さくする).すると,死亡率は 2 / 10万.同じワクチンが国内のすべての30代男性(約924万人)に打たれ,同じ死亡率であったとすると,想定される死亡者数は,924万 x 2 / 10万 = 185.つまり,185人が同様に死亡すると想定される.

 

年齢別人口

https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai08/sankou3.html

 

この数字を,30代男性の突然死の数字と比べてみよう.突然死に明確な定義はなく,その発生率の推定は簡単でないようだが,以下の調査によれば,20歳から39歳の男性の突然死は,年間で10万人あたり8人から16人だという.突然死は年齢が高いほど増えるから,多めに見積もるという意味でこれを30代の突然死率と見ることにする.30代男性は約924万人だから,日本全体では年間で 739人 から1478人が突然死する(意外と多いな..).

 

疫学からみた我が国の突然死の実態

  https://www.jstage.jst.go.jp/article/jse1981/26/2/26_2_111/_pdf#:~:text=%E6%80%A7%20%E3%83%BB%E5%B9%B4%E9%BD%A2%E9%9A%8E%E7%B4%9A%E5%88%A5%E3%81%A7%E3%81%AF,%E3%82%88%E3%82%8A%E9%AB%98%20%E3%81%8F%2C%E5%B9%B4%20%E9%BD%A2

 

ただし,この数字( 739人 から1478人)をワクチン接種後の185人と比べるわけにはいかない.死亡した30代の2人は接種後3日,40代の男性は翌日だったのだ.接種直後だったからワクチン接種後の死亡として報道されたわけで,もしこれが1ヶ月後,半年後であれば話題にもならないだろう.だから突然死者数も年間ではなく,3日から1週間程度に絞らなければならない.ただ3日間に限定すると絞り込み過ぎのように思えるので5日間とし,30代の男性が5日間に突然死する人数を計算すると,5/365を掛ければよいから,10人から20人(10日とすれば20人から40人)となる.

 

つまり,結論はこうだ.5日の間に普通の30代の日本人男性が突然死する人数は10人から20人.それに対して,異物混入ワクチンを30代日本人男性全員に打った場合の死者はおおよそ185人.もちろん,たまたま2人が亡くなったがこれが一人だったら185人の数字が半分に減る.52万回の接種のうち30代男性が10万人より多ければ数字は下がり,少なければ数字は上がる.だが,そのような不確定要素を考慮にいれても,大雑把な試算から言えることは,異物が原因だったとか,ワクチンそのものが原因だとか,断定はできなくとも,やはり怪しいということである.

 

詳細で厳密なデータが取られ,すべてのデータが公表されていれば,より厳密な統計的な分析ができるはずだ.しかしそれは今の日本政府には期待できないだろう.GDPデータを操作し,雇用統計データを改ざんする日本なのだ.データサイエンスなんて,この国の政治や行政には,豚に真珠.

 

  http://ictj-report.joho.or.jp/1905/sp08.html

  https://news.yahoo.co.jp/byline/tsudasakae/20190507-00125075

  https://www.huffingtonpost.jp/entry/news-ishido-gdp_jp_5cc7f8e9e4b05379114a0b7a